入社して一年未満で仕事を辞める人はそれほど珍しくなく、思ったような仕事と違っていたから、新しくやりたいことが見つかったからなど辞める理由もそれぞれです。
一方で、実際に退職するとなるとどのような手続きが発生するか分からない人もいます。
流れを知っておくだけでも精神的な負担が大きく変わるだけでなく、転職などを含めた次の生活に切り替えがしやすくなります。
必ずやらなければならない手続きなどを踏まえ、事前の心構えをすることも大切です。
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入社して一年未満で退職する際の手続きの流れ
入社して一年未満で退職する場合の手続きは、年単位で会社に勤めたときよりも簡単なケースが多いです。
これは引き継ぐ仕事が少ない場合が大半で、退職時にやるべきことも少ない傾向があるからです。
会社に迷惑をかけるのではないか、揉めるのではないかと考える人もいますが、実際はすんなり辞められることも多いのです。
引き止められるケースもありますが、退職の意志が固いことを示せば退職はできます。
会社側は辞めたいという人の意志を拒めず、辞めることを拒否すると不法行為とみなされる場合があるのがポイントです。
退職をするときは、退職するという意思をしっかり持つことが大切なのです。
通常仕事を退職するときは1ヶ月から2ヶ月前に退職の意向を伝えるのが基本です。
届け出る相手は直属の上司で、時間をもらった上で伝えるのがベターです。
休憩時間は業務時間外になるのが一般的なため、外すのがおすすめです。
退職の意向を伝えるのは口頭でも成立しますが、証拠を残すためにも退職願を出すのがおすすめになります。
退職願のテンプレートは様々なサイトからダウンロードできるため、書類として提出すると実効力が増します。
迷うような態度があれば引き止めにあう確立もあがってしまうため、歯切れが悪い感覚で伝えるのはNGです。相
手の時間をもらっていることを踏まえ、簡潔に辞めたい意志を伝えるのが基本になります。
会社は退職の意思を拒否することができず、民法上は2週間で退職ができるようになります。
法律上2週間という基準があるのと、1ヶ月から2ヶ月前に退職の意向が必要になるのは会社側への配慮のためです。
欠員の補充や引継ぎに時間がかかる場合は会社側に損失が発生しやすくなります。
損失を補填する義務はないものの、トラブルになる可能性も高く、余裕を持って退職の意向を伝えることがマナーになっているのです。
会社の雇用契約書にも1ヶ月前には申請が必要といった文面が盛り込まれている場合もあります。
2ヶ月は更に余裕を持って伝える場合や、引継ぎが多い場合に円満退職を目指す場合の目安になります。
特に雇用契約に盛り込まれていない場合は1ヶ月前がマナーという感覚で問題がありません。
退職を届け出た後は、仕事の引継ぎや得意先へのあいさつ回りを行います。
ただ、一年未満の場合は引き継ぐ仕事はほとんどなく、得意先へのあいさつ回りなども不要なことが多くなります。
上司などの指示がなければ特に問題がないため、気になる場合は何か必要な手続きはあるか確認するのがおすすめです。
特別に指示がなければ、与えられた業務をこなせば問題ありません。
引継ぎがある場合は、次の担当者向けに資料を用意するなど、業務に支障がないように工夫をする必要があります。
転職先などが決まっていない場合は、離職票を発行して貰うように申請しておくのも方法です。
離職票はハローワークで失業保険の手続きなどをする場合に必要になります。
発行に時間がかかる場合もあるため、失業給付を受ける要件を満たしている場合は早めに申請しておくと焦らずに済みます。
離職票は退職の手続きが済んでから郵送するという企業も存在するため、発行タイミングの確認にもなります。
申請は庶務など別部署の場合もあるため、わからない場合は上司に確認します。
また、退職時に追加の書類がないのかも念のために聞いておくのがおすすめです。
退職願とは別に会社の手続き上退職届が必要で、専用の書類に記入が必要なケースもあります。
有給がある場合は有給を消化する必要があるのもポイントです。
有給は法律上取得を義務付けられていて、会社都合で拒否ができないことは覚えておく必要があります。
忙しいからと会社側から拒否されても届けを受け入れて貰えない場合は、労働基準監督署に相談した上で指摘して貰えば有給を受け取れるのが一般的です。
労働者の権利を守ることは会社にとっても重要なことになりつつあるため、自分にも会社にも不利益が出ないように申告をすることも大切になっています。
有給を消化する場合は最終出社日と退職日がずれる場合があります。
最終出社日は備品の返却を行い、会社に雇用保険被保険者証や年金手帳などを預けている場合は受取が必要になります。
備品の返却や挨拶などが終われば、無事退職できたことになります。
退職をした後の手続き
退職後に必要な手続きは主に会社以外で必要なものも含まれます。
会社に発行して貰う必要があるのは、離職票と源泉徴収票です。
離職票
離職票は雇用保険を受け取る手続きに必要で、すぐに転職する場合は不要になります。
必要かどうかがわからなければ発行しないという会社も存在するため、必要な場合は忘れないようにしましょう。
源泉徴収票
源泉徴収票は所得税の申告に必要で、転職先での年末調整時に必要になります。
独立した場合は確定申告に必要になるため、必要に応じて発行して貰います。
転職先が決まっていない場合は、ハローワークでの失業給付の手続きが必要なケースがあります。
ただし、新卒でアルバイトなどの経験もなく、失業保険を支払っていた期間が1年未満だった場合は給付の対象から外れる場合もあります。
対象かどうかわからない場合は、ハローワークに確認して貰うのも方法です。
ただし、自己都合での退職の場合は失業給付金が受け取れるまでに3ヶ月ほどの待機期間が発生する場合があります。
一方で、残業時間が明らかに多い場合は会社側都合での退職扱いになる場合もあります。
労働基準法を越える残業があった場合は会社側が法令違反を行っていたという解釈になり、会社都合での退職として扱われます。
労働契約締結時に明示された労働条件と実態に著しい相違があった場合や、セクハラやパワハラがあった場合も会社都合での退職になる場合があるため、ハローワークに相談するのも方法です。
会社都合の退職の場合は待機期間が短縮され、給付の金額や期間もかわる可能性があります。
保険と国民年金への切り替え手続き
会社を退職した場合は保険と国民年金への切り替え手続きが必要になります。
社会保険と厚生年金の対象から外れてしまうため、手続きをしないと切り替えが進まないのです。
保険は3種類の中から選択が可能です。
健康保険の任意加入
一つは会社などで入っていた健康保険の任意加入を行うことです。
社会保険から外れてしまった場合も、会社側や健康保険組合に申請すれば任意加入で健康保険を利用し続けることができます。
ただし、健康保険の被保険者期間が退職の日までに継続して2ヶ月以上あること、2年間を限度として加入することが条件です。
任意加入の手続きは退職から20日以内です。
国民健康保険へ切り替える場合は退職から14日以内に行い、居住地域の市区町村窓口で行います。
国民年金への切り替え
国民年金への切り替え手続きも市区町村の窓口で行えるため、一緒に手続きを済ませてしまう人もいます。
年収が低く、配偶者がいる場合は家族の扶養者として扶養枠に入ることもできます。
ただし、年収130万円未満である必要があり、アルバイトなどで収入が増えた場合は扶養の要件から外れる可能性があります。
手続きは家族の職場などを通して行います。
年金の手続きもほぼ同様で、国民年金への切り替えは最寄の市区町村役場の窓口で行います。
扶養枠での年金に入る場合は原則配偶者がいる人のみに限定されるため注意が必要です。
配偶者がいない場合は国民年金への切り替えになり、扶養の手続きを行うのは配偶者の会社を通すこと、年収が130万年未満であることを守る必要があります。
退職する際の注意点
退職の申請は余裕を持つことが大切
労働基準法上は退職は申請してから2週間で成立します。
しかし、時間がない中強行しようとして会社との信頼関係が崩れ、離職票が発行されないなどのトラブルに発展するケースもあります。
この場合はもちろん、離職票を発行しない会社に問題がありますが、トラブルの解決にも時間がかかるのがポイントです。
ハローワーク側で離職票の発行も可能ですが、手間がかかります。
トラブルを避けるためにも余裕を持って退職の申請をすることが大切です。
返却物はしっかりとチェック
会社に返却する備品はチェックが必要で、特に会社に入るために必要なセキュリティーカードなどや制服の返却漏れはトラブルに発展する恐れがあります。
また、データや書類の返却、必要に応じた消去も必須になります。
名刺の返却などが求められる場合もあります。
出社して返却することが難しい場合は郵送で返却するなど、そのまま放置しないことが大切です。
住民税の支払いタイミングに注意
住民税は1月から5月に退職した場合、退職月にまとめて天引きされることになります。
退職のタイミングによってはいつもよりも給料が低いという状態になりえるため、注意が必要です。
6月から12月の場合は退職後に納付書が届くようになります。
天引きではなくなり、自分で納付が必要になることに注意が必要です。
まとめ
入社一年未満で退職する場合は長く務めた場合よりも引継ぎなどが少なく、楽な傾向があります。
ただし、不慣れな部分も多いため、必要な手続きをチェックしてしっかりこなすことが大切です。
また、一年未満の場合は雇用保険の加入期間が足りずに失業保険が受け取れない場合もあります。
他の仕事をしていたかどうかでも影響があるため、わからないことは手続きができる場所で聞くことも含め、一つ一つ解決することが大切です。