フリーランスで働くと自分で仕事を受けて活動することになります。
しかし自分で仕事を受けるため、いつでも決まった収入があるとは限りません。
フリーランスでも特定の企業なんかと長期契約を結べる場合もありますが、会社員のように決まった固定給があるわけではありません。
そんなときに考えるのが「失業保険」ですね。
結論から言えば、すでにフリーランスと活動している人はもらうことができません。
しかし、これからフリーランスとして活動しようか再就職をもらえるかどうか迷っている人であればもらうことができます。
ですから、本記事はこれからフリーランスとして活動しようかどうか迷っている人は参考にして下さいね。
また、最後に「政府が発足したフリーランス向けの失業保険」についても詳細を記していますので、ぜひ参考にして下さい。
Contents
フリーランスでも失業保険はもらえるの?
結論からいうとフリーランスは失業保険をもらうことはできません。
しかし、現在あなたが置かれている状況に応じて受け取れる場合もあります。
そもそも、失業保険を貰うためには「雇用保険」に加入しなければなりません。
雇用保険とは会社に雇われている人が加入する保険です。
雇用保険(こようほけん)とは、日本における雇用保険法に基づく、失業・雇用継続等に関する保険の制度である。保険者は日本政府。財源は雇用者と雇用主が社会保険として負担するほか、国費投入もされている。
引用:Wikipedia
フリーランスであれば誰にも雇われていませんから、雇用保険に入ることができないのです。
つまり、個人でやっていてフリーランスとして活動している人は失業保険が貰えません。
しかし、前職は会社員だったという人であれば失業保険を受け取ることができます。
前職が会社員であれば勤めているときに雇用保険に加入していますから、場合によっては失業保険を受け取ることができるのです。
ただし、前職で雇用保険に加入していたからといって誰でも失業保険を受け取れるわけではありません。
「失業中であり仕事を探している」という人を対象としているものなので、すでにフリーランスとして活動している人は対象とはならないのです。
それでもフリーランスで活動していることを隠して申請をすることはできます。
しかしそれは失業保険の「不正受給」となってしまうので注意しておきましょう...
失業保険の不正受給はハローワークにも記載されていますので、下記をご覧ください。
【不正受給の典型例】
- 実際には行っていない求職活動を、「失業認定申告書」に実績として記すなど偽りの申告を行った場合
- 就職や就労(パートタイマー、アルバイト、派遣就業、試用期間、研修期間、日雇などを含む。) したにもかかわらず、「失業認定申告書」にその事実を記さず、偽りの申告を行った場合
- 自営や請負により事業を始めているにもかかわらず、「失業認定申告書」にその事実を記さず、 偽りの申告を行った場合
- 内職や手伝いをした事実及びその収入を「失業認定申告書」に記さず、 偽りの申告を行った場合
- 会社の役員に就任(名義だけの場合も含む。)しているにもかかわらず、「失業認定申告書」 に記さず、偽りの申告を行った場合
定年後、「積極的に就職しようとする気持ち」や「いつでも就職できる能力(身体的・環境的)」 がなく、しばらく失業給付を受け、受給終了直後に年金を受給しようと考えている者が、「失業認定申告書」により偽りの申告を行った場合
こういった不正行為が行われた場合、その不正行為があった日以降の日について、基本手当等が一切支給されず、不正に受給した基本手当等の相当額(不正受給金額)の返還が命ぜられます。さらに、返還が命ぜられた不正受給金額とは別に、直接不正の行為により支給を受けた額の2倍に相当する額以下の金額の納付(いわゆる「3倍返し」)が命ぜられることとなります。
そもそも失業保険とは何か
失業保険とは「仕事が見つかるまでの国が定めている手当」です。(別名:失業給付金とも呼ばれています)
失業給付とは、政府や政府関係機関から失業者に対して支払われる給付である。
引用:Wikipedia
失業保険を貰うには雇用保険に加入する必要がありますが、その保険を支払っていた人がリターンとして受け取れるようになっている制度です。
会社員であればこの雇用保険は加入が義務づけられていますし、バイトやパートで働いていても加入するケースが多いです。
正社員であれば全員加入、それ以外の人でもこういった人を対象としています。
- 週に20時間以上の労働時間がある
- 31日以上の雇用見込みがある
こういったことが加入条件になっているため、多くの人が雇用保険に加入しています。
そして雇用保険に加入していた人が失業保険を受け取ることができる条件は以下の通りです。
- 失業している状態であり、ハローワークで求職活動している
- 働く意思があるものの仕事が見つからない
- 離職した日から2年間遡り、その間、被保険者期間が12ヶ月以上ある(倒産や解雇で仕事を失った場合は1年間遡り、被保険者期間が6ヶ月以上になる)
上記の条件に当てはまるのであれば失業保険を受け取ることができます。
(もっと詳しく知りたい人は『失業保険の受給資格~もらうまでの全ガイド!手続きの方法・抱えやすい疑問についても』をご覧ください。)
条件に当てはまっている人は離職票などを持ってハローワークで手続きを行っていきましょう。
支給額は前職の日額や自己都合退職であるか会社都合退職などによって違いますが、日額の50~80%ほどで計算されて支給されます。
受け取ることができる期間もその人の状況によって変わり、最大でも360日です。
失業保険と再就職手当の違い
再就職手当とは「再就職したときのお祝い」のようなものです。
再就職手当は、基本手当の受給資格がある方が安定した職業に就いた場合(雇用保険の被保険者となる場合や、事業主となって、雇用保険の被保険者を雇用する場合など)に基本手当の支給残日数(就職日の前日までの失業の認定を受けた後の残りの日数)が所定給付日数の3分の1以上あり、一定の要件に該当する場合に支給されます。
支給額は、所定給付日数の支給残日数×給付率×基本手当日額((注意3) 一定の上限あり)となります。
ただし誰でも受け取れるというわけではなく、こういった条件を満たす必要があります。
- 1年以上の雇用見込みがあること
- 離職前と同じ雇用主に雇われていないこと
- 再就職した日から遡って3年間は再就職手当を受け取っていないこと
- 事業を開始した人で条件を満たしている人
他にも条件はありますが、失業手当との比較を分かりやすくするため抜粋しています。
この2つの違いを簡単に比較するとこのような感じです。
失業保険 | 仕事を探している人が求職中に受け取ることができるもの |
再就職手当 | 再就職した人が1年以上勤務見込みがあるときに受け取れるもの |
失業保険と再就職手当は同じような制度ですが、そもそも貰える人の対象が異なります。
ではもっと具体的な違いを比較していきます。
受け取るまでにかかる期間
失業保険 | 失業している人の生活を考えて受け取りまでが早い |
再就職手当 | 失業保険よりも時間がかかることが多く、場合によっては2ヶ月ほどかかることもある |
受け取ることができる金額
失業保険 | 前職の日当50~80%で計算される |
再就職手当 | 失業保険の残日数によって変わる。残日数が3分の2なら残日数の70%、残日数から3分の1以上なら60%、3分の1であれば受け取ることができない |
受け取り方法
失業保険 | 分割して支給 |
再就職手当 | まとめて支給 |
失業手当は前職の日割り日当で計算され、再就職手当は失業保険の残日数によって計算されます。
フリーランスは再就職手当ももらえる?
基本的に失業保険も再就職手当も会社員などの「雇われている人」を対象とした制度です。
ですがここで注目したいのが再就職手当を受ける条件にある「事業を開始した人で条件を満たしている人」です。
再就職手当とは、雇用保険受給資格者のみなさまが基本手当の受給資格の決定を受けた後に安定した職業に就き、又は事業を開始した場合に支給することにより、より早期の再就職を促進するための制度です。
引用:再就職手当のご案内
基本的にフリーランスであれば失業保険を受け取ることはできませんが、この条件があるためフリーランスでも再就職手当を受け取ることができます。
しかし誰でも受け取れるということではありません。
再就職手当を受けるためには失業保険の手続きが必要になるため、雇用保険に加入していることが条件となります。
- 失業保険受給の手続き後、7日間の待期期間(仕事をしていない期間)を満了後に、就職または自営業を開始したこと。
- 就職日の前日までの失業認定を受けた上で、基本手当の支給残日数が所定給付日数(受給資格決定時にもらえる日数)の3分の1以上であること。
- 退職した会社に再び就職していないこと。また、辞めた会社と資本金・資金・人事・取引面で密接な関わりがない会社に就職する必要があります。要するに、以前の会社への出戻りや子会社に就職したときは対象外ということです。
- 正当な理由のない自己都合退職や懲戒解雇によって給付制限(基本手当がもらえない)期間がある方は、受給資格決定日から待機期間満了後の1カ月間は、ハローワークや人材紹介会社の紹介によって就職していること。
- 1年を超えて勤務することが確実であること。なお、契約期間が1年以下の契約社員や派遣社員でも、更新する見込みがあれば支給対象となります。
- 自営業を開始した場合を除き、雇用保険の被保険者となっていること。
- 過去3年以内に再就職手当、または常用就職支度手当の支給を受けたことがないこと。
- 受給資格決定(求職の申込み)前から採用が内定していた会社ではないこと。
つまり対象となるのは「雇用保険に加入していて退職後にフリーランスになる人」です。
ですから退職してから離職票をもってハローワークへ行き、失業保険の手続きを行っていきましょう。
その後、説明会や講習を受けていきます。
こういった手続きが終了してからフリーランスになることをハローワークの担当に伝えていきます。
ただしハローワークが認めた場合に再就職手当が受け取れるようになるため、認められない場合は受け取ることができません。
再就職手当は「1年以上の勤務を継続できるであろう場合」に限られているため、フリーランスになって1年もたないと判断されると認められないということです。
そのためフリーランスでもエージェントやクライアントと契約し、常駐して働くなどの場合は再就職手当の受給が認められやすいという特徴があります。
失業保険を受給している途中でフリーランスになる準備をした場合
失業保険は「仕事を探している人」を対象としているため、開業すると対象外となります。
あくまで「仕事を探しているが見つからない」という人が受け取れるものなので、開業していなくても開業の意思があると判断された場合には、受け取っている失業保険はストップし、その後は受け取ることができません。
2014年7月に政府が「起業準備中の人にも失業保険の受給を認める」として、日本経済新聞が報道しましたが、あれから5年経つ今でも起業準備中の人に失業保険の受給が認められていません。
政府は起業を準備している人にも雇用保険の失業手当を払う。いまは準備段階の人は「自営業者」とみなして失業手当を支払う対象としないことが多いが、今後は原則として払うように運用を改める。最長1年間、前職の賃金の5~8割の失業手当を給付する。サラリーマンが起業のために会社を辞めても、急に現金収入が途絶えないようにして、起業を後押しする。
フリーランスの失業保険はまだない
企業に所属せず、自分自身のスキルや経験を武器に仕事を行って収入を得る働き方「フリーランス」。フリーランスは、国民健康保険程度しか加入することができず、雇用保険もありません。
そのような中で、2017年に政府が推進してフリーランスの失業保険ができるというニュースが話題を集めました。しかし、残念ながら2019年になっても、フリーランス向けの失業保険はまだ実現にはいたっていません。
参照: フリーランス協会/フリーランスのための保険、福利厚生、コミュニティ
引用:TECH::EXPERT
中には「開業届を出していないから大丈夫」と考える人もいるでしょうが、「開業準備をし始めると受け取る資格がなくなる」とされています。
つまり開業しようと本人が決めた時点で失業保険を受け取る資格がなくなる、ということです。
しかし本人がどう思っているのかはハローワークの担当者には分かりませんから、実際には本人が申し出た場合に支給が停止となります。
フリーランスとしてすでに活動している人は失業保険はもらえない
フリーランスが失業保険をもらうときは注意が必要です。
すでにフリーランスとして活動しているにも関わらず失業保険を受給していると、それは不正受給となります。
不正受給をすると受け取った金額は返すことになりますし、悪質だと判断されてしまうと3倍にして返すことになります。
フリーランスであれば確定申告を行いますから、その際に不正受給をしたことはバレます。
フリーランスとして活動していれば、確定申告をしなければ脱税になる為、必ずしなければなりません。
ですから、フリーランスとしてすでに活動されている人は失業保険をもらうのは辞めておきましょう。
とはいえ、フリーランスになるか再就職するかどうか迷っている人は、失業保険を受給しておいて損はないでしょう。
フリーランス向けの失業保険はいつ制定される?
先述した様に2014年7月起業準備中の人に失業保険制度を発足するということでした。
しかし、未だに発足されていないものの、現在以下の項目検討中とのことです。
・仕事がなくなった場合に補償を受けられる団体の設立
・出産などの理由から働けないときの補償
・フリーランスが仕事上で不利にならないようなガイドラインの作成
・認定優良事業制度の導入
・ローンなどを契約しやすくするための制度導入
現段階では検討中のため、詳しい内容、いつから始まるのか、実際に導入されるのか未定です。
フリーランスの失業保険のまとめ
現在の取り決めではフリーランスで活動していると失業保険を受け取ることができません。
場合によっては手続をすることは可能となってはいますが、既にフリーランスとして活動していると不正受給となってしまうので注意が必要です。
フリーランスでも再就職手当を受けることができる場合もありますから、自分の状況を考えて手続きするかどうか考えていきましょう。
認められるかどうかはハローワークの判断によりますから、可能性があるなら申請してみましょう。