フリーランサーとして事業をしていくにあたって、大きな問題の1つに保険をどうしようかというものがあります。
今までは会社が全額出してくれていたり、折半だった保険を全て自分で負担するとなるとそもそも保険ってどんな目的で入るんだろう?という所から考え直す必要があります。
今回の記事がフリーランサーとして活躍を狙い皆さんのお役に立てれば幸いです。
Contents
フリーランスと会社員の保険の違い
それでは先ず、フリーランスと会社員の保険の違いについて見ていきましょう。
法律上、フリーランスと会社員では天と地ほどの差がある事はご存知でしょうか?
例えば分かりやすいところでいけば給与です。
「労働者」は働いた分だけはもらって当然の世界ですが、片やフリーランスの方は収入が安定的に入ってくる保障などありません。
全て自己決定・自己責任の世界です。
そしてそんなフリーランスと会社員という待遇の違いの中でも社会保険は最も顕著に差が現れます。
「労働者」という立場で会社員は全てくくられるわけですが、「健康保険」「厚生年金」「労災保険」「雇用保険」「社会保険」に加入する事が出来ます。
しかもその手続きは全て会社が行ってくれるのです。
さらに、労災保険は会社が全額負担、雇用保険は折半、健康保険・厚生年金についても会社と労働者で折半といった具合です。
冷静に考えるととてつもないですよね。会社がいかにお金を払ってくれていたかがよく分かります。
さて、一方でフリーランスですが、会社員の待遇を見た後に説明をすると心苦しいのですが、実は社会保険に関しては全額自己負担です。
当たり前と言えば、当たり前ですよね。
そしてフリーランスになると「労災保険」「雇用保険」に関しては加入すら出来ません。
事故にあおうが、何をしようが誰も助けてくれないのです。
全てが自己責任になるため、正直自己管理が苦手な方やすぐに他人のせいにしたくなってしまう方は性分的に向いていないと言えるでしょう。
そのくらいに厳しい世界です。
フリーランスが入っておきたい保険
では次にフリーランサーならではの入っておくべき保険についてご紹介していきます。
その前にそもそも保険自体がどういったものかを理解しなくてはいけませんからそこについてご紹介していきましょう。
基本的には、3つのタイプに分かれます。
定期保険
これは保険期間中に死亡した場合に契約した分の金額が支払われるというものになります。
掛け金が安い代わりにほぼ掛け捨てのものです。
言い換えるならば何もなければ何も戻ってこない保険です。
養老保険
次に養老保険というのは、保険期間中に死亡した場合に、契約した保険金が支払われるというところまでは定期保険と同じですが、満期を迎えて生存をしていた場合でも死亡した場合と同額の保険金がもらえます。
3つのタイプの中では最も貯蓄性に優れた保険です。
その代わりに保険料は少々高めです。
終身保険
最後に紹介する終身保険は名前の通り保険期間は一生涯です。
払い込みが終わったとしても死亡した場合には契約した分の保険金額が支払われます。
養老保険ほどではないですが、保険料は比較的高めです。
基本的にはこれらの組み合わせで保険を組んでいくわけですが、フリーランスは退職金というものがありません。
そのため、保険料が高かったとしても養老保険を利用して保障を持ちながら貯蓄をしていくというのが理想です。
また、医療や介護に関する保障も現時点ではない状態ですので、こちらも別途民間の保険会社と契約をしておくことが重要です。
ただし人によっては医療や介護の費用に関しては、現金で何とかするからわざわざ保険には入らないという方もいるかと思います。
もちろん、そういった決断も良いでしょうが、よくよく考えて頂きたいのは怪我や病気で入院となったらその間は売り上げもなくなるという事です。
当然生活費は出ていくわけですから、恐怖のどん底を味わう事になります。
もちろんそれでもいらないという方はそれでよいですが、特にすでに家族がいるのであればそれはあまりにも無責任と言えます。
おさらいをすると、先ずは将来の老後の事を考慮した貯蓄性の保険で資産を貯めていきつつ、かつ医療や介護といった万が一の事が起こった際に自分や家族を守ってくれる保険をつけておくというのが基本の形になってきます。
フリーランスの保険料は経費になる?ならない?
では次に気になる方も多いであろう保険が経費になるかどうかという点についてご紹介していきます。
結論から言いますと、フリーランスでは保険は経費には含まれません。
思わずがっかりされた方も多いかと思いますが、安心してください。
確かにこちらは経費としては計上されませんが、健康保険料に関しては「社会保険料控除」の対象に、生命保険の場合は「生命保険控除」の対象とする事が出来ます。
つまり、引かれる場所は異なりますが控除はされるという事です。
では、経費にならないのであれば保険は止めるべきかと言われると、先ほどもご紹介をしましたが何が起こる分からない中で全く保険を掛けずに事業をしていくのは非常に危険なかけです。
よほど体が頑丈であればよいかもしれませんが、それでも生身の人間ですから病気になったり怪我をする事もあります。
フリーランスは自由度も高いですが、全て自分で決断をしなければいけないですし、責任も全て自分にあります。
万が一入退院を繰り返すような状態になってしまって、貯金が底をつけば借金をしてでも支払わなければいけません。
しかし、これが恐ろしいところですがフリーランスという不安定な職業になったとたんに周りはお金を貸してくれなくなります。
金融機関も貸し倒れのリスクが高まるからです。
そうなると自分の身を自分で守る以外の方法は保険を掛けるしかありません。
そう考えると保険は絶対に必要であると分かるかと思います。
万が一に備えるので優先順位が下がりがちな人が多いですが、それがあるからこそ注意を払わずに目の前の事に集中出来るというものです。
フリーランスが保険料を安くするには
それでは最後にフリーランサーが少しでも保険料を安くするためのとっておきの方法をお伝えいたします。
今回注目するのは、「健康保険」です。
会社員時代には折半だった健康保険ですが、フリーランサーは当然全額負担になります。
しかも、民間の保障などに比べると保障も薄くあまりメリットを感じない事もあります。
しかし、国民の義務として支払う必要があるため止める事は出来ません。
だったら少しでも支払う金額を抑えればよいのですが、具体的に出来る方法が3つございます。
所得を小さく
国民健康保険料は「所得(売上-経費)×保険料率」という計算式で求められます。
つまり、何らかの経費の額を調整してあげる事で、乗法の片側が小さくなりますから保険料が下がる事になります。
ただし、課税所得にかかるわけではないので、生命保険料控除などはここでは意味がありません。
あくまでも所得に対して計算される事を覚えておきましょう。
青色申告特別控除
控除の中でも1つだけ、差し引けるものがあります。
それが「青色申告特別控除」です。
65万円か10万円かを選べますが、基準としては、下記の基準を満たしていればOKです。
✔︎事業所得または不動産所得を得る事業
✔︎複式簿記で記帳している
✔︎確定申告時に損益計算書と貸借対照表を添付している
✔︎決められた期限内に確定申告を行っている
青色専従者給与
もし家族がいるのであれば手伝ってくれた分を給与として支払う事で経費に換算する事が出来ます。
ここまで3つやり方をご紹介してきましたが、つまり本質的には保険料率を掛け合わせる所得を減らせば良しという事です。
まとめ
ここまでフリーランスならではの保険の仕組みやどの保険に入るべきなのか、保険は経費になるのか、保険料を安くする方法について説明をしてきました。
これは本当に知っているかどうかで結果が大きく変わってしまいますので、もしまだ独立されていないのであればむしろ独立前に基盤を作ってしまった方が宜しいかと思います。
人間は焦った状態で正しい判断は出来ません。
是非、余裕をもって将来の事を見据えた選択をしていきましょう。