フリーランスを考えているけれども最初の手続きにどれほど負担がかかるか分からないと不安ですよね。
最初の手続きであまりにも費用と時間がかかるようでは、フリーランスを始める前に挫折してしまいそうです。
幸いフリーランスを始めるのに必要な手続きは上手くやれば、1日で終わるほど簡単なもの。
むしろフリーランスを始めた後の帳簿付けやローン契約の方がやっかいにだったり。
そこで本記事では、フリーランス1年生が知るべき注意点や手続きの際に考慮するポイントなどを紹介します。
トラブルなくフリーランスを始めたい方には必見の内容です。
Contents
フリーランスになる為の具体的な手順
必要な書類や役所に手続きが必要なことなど、個人事業主として活動できる為の具体的な手順の記載をお願いします。
フリーランスになるには大きく分けて2種類の手続きが必要になります。
一つは社会保険に関する手続きで、もう一つは事業開始するにあたって必要となる手続きです。
各手続きの要点や注意点をまとめましたので参考にしてください。
社会保険に関する手続きを済ませる
年金の切り替え会社勤めの時は、会社が自動的に厚生年金の保険料を給料から差し引いて収めてくれていましたが、フリーランスになると自分で国民年金の保険料を支払う必要があります。
厚生年金から国民年金への切り替えは退職した時点で自動的に行われますか、うまく手続きが行われず国民年金に未納期間が発生する場合があります。
国民年金に未納期間が確認されると障害年金や遺族年金が支払われないなどペナルティを課せられます。
長期で未納を続けると、財産差し押さえもあります
それでは、長期で未納を続けた場合、どのようなことが起きるのでしょうか。
通常65歳以上でもらえる老齢年金がもらえなくなり、病気やけがで障害が残った場合にもらえる障害者年金ももらえなくなってしまいます。
また、死亡した際に遺族がもらえる遺族年金ももらえなくなります。
さらに、収入があるのに滞納している加入者には、強制徴収により財産差し押さえをされる可能性もあります。
長期で未納を続けると催促状が届き、最終催告状から2年以内には財産の差し押さえがある場合もあるので、気を付けましょう。
引用:常陽銀行
上記の文章を見ても分かる通り、未納期間が続くと催促状が届くことになりますので、国民年金への切り替え手続きは確実に済ませましょう。
国民年金への切り替え手続きに必要なものは次の3点になります。
- 年金手帳
- 退職証明書や離職票など退職日を証明できるもの。
- 身分証明書
これらを持って市区町村の役所で手続きを行きます。
手続きは退職後14日以内に行う必要があるので優先的に済ませましょう。
健康保険の切り替え
健康保険は国民年金と違って退職後にいくつか選択肢があります。
代表的な選択肢は次の3つになります。
- 現在加入している会社の社会保険を使い続ける(任意継続)
- 国民健康保険に加入する
- 文芸美術国民健康保険組合など一般業種の国保組合に加入する
3つのうちいずれかひとつを選ぶことになりますが、保険料を抑えるにはどれを選ぶべきでしょうか?
社会保険が一番安く済みそうに思えますが、任意継続すると今まで会社が払っていた分で自分で払うことになるので保険料は去年よりも確実に増えます。
保険料のはお住まいの都道府県が定める料率に退職時の標準報酬月額をかけて計算できます。
たとえば会社に在籍中に東京都に住んでいた40歳未満の男性で平均月収が約240,000円だったなら、任意継続した場合の月々の保険料は23,760円です。
同条件で国保の保険料を計算すると月額13,942円ですから、この場合は任意継続が不利になります。
任意継続が国保よりも保険料が安くなるのは月収が高額のケースです。
任意継続の保険料は最大でも27,720円で、前年の所得がだれだけ多くてもこれ以上にはなりません。
そのため前年の税込年収が550万円を超える場合には任意継続の方が保険料が安くなります。
保険料以外にも任意継続には注意すべき点があります。
会社で利用していた社会保険と違って傷病手当がもらえないのです。
病気や怪我などで仕事ができなくなった際に支払われる傷病手当が、一切もらえないというのはかなりショックなことでしょう。
これはどうしようもないので、必要な場合は民間の保険会社が提供する同じような保険に加入しましょう。
一般業種の国保組合に関しては国保より保険料が割安なメリットがありますが、誰でも入れる保険ではない点が大きなデメリットです。
もし加入できるなら他の保険より優先すべきでしょう。
開業に関する申告
申請書類を提出する実は、フリーランスを始めるにあたって自治体に提出が義務付けられている書類というのはありません。
いつでも好きなタイミングで今日からフリーランスだと決めて事業を始められます。
しかしそれでは所得税の控除が受けられません。
フリーランスが所得税を効果的に控除するには、青色申告を提出する必要があります。
青色申告を可能にするために税務署に提出するのが「開業届」と「青色申告承認申請書」です。
それぞれの書類の詳細と注意点について解説します。
開業届
開業届はこれから事業を開始することを国に申告する書類です。
これを提出することで青色申告が可能になるのが最大の特徴であり、この書類を出す目的です。
青色申告ができない場合は白色申告を利用することになりますが、白色申告では所得税の控除を受けることができません。
最大65万円の所得税控除を受けられる青色申告をするためにも忘れず提出しましょう。
開業届の提出期限は、事業開始から1ヶ月以内が原則になっています。
書類はインターネットからダウンロードすることができるので事前に記入して事業開始とともに税務署に持っていけるようにしておきましょう。
ただ記入欄が少ないので青色申告承認申請書を提出する際に税務署で開業届の書類をもらって、そこで記入して提出することも十分可能です。
開業届で初心者が戸惑いやすいところは、記入欄にある「屋号」の項目でしょう。
しかしここは空白でも問題無く受理されますので、屋号を利用する機会が無い場合は未記入のままで大丈夫です。
詳しい開業届の手順やネットを活用した開業届の提出の仕方もありますので、詳しくは下記の記事をご覧くださいね。
青色申告承認申請書
青色申告承認申請書も青色申告をするためには絶対に提出する必要がある書類です。
提出期間が3月15日までと期限があり、それを過ぎるとその年の確定申告に青色申告を利用することができなくなるので注意してください。
2019年分の確定申告を青色申告で行う場合は、2019年の3月15日までにこの申請書を提出ししなければなりません。
この期間を過ぎると「期限後申告」となり、無申告加算税や延滞税が加算される場合があります。
所得税法では毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得について、翌年2月16日から3月15日までの間に確定申告を行い、所得税を納付することになっています。
しかし、期限内に確定申告を忘れた場合でも、自分で気が付いたらできるだけ早く申告するようにしてください。この場合は、期限後申告として取り扱われます。
また、期限後申告をしたり、所得金額の決定を受けたりすると、申告等によって納める税金のほかに無申告加算税が課されます。
各年分の無申告加算税は、原則として、納付すべき税額に対して、50万円までは15%、50万円を超える部分は20%の割合を乗じて計算した金額となります。
なお、税務署の調査を受ける前に自主的に期限後申告をした場合には、この無申告加算税が5%の割合を乗じて計算した金額に軽減されます。
(ただし、平成29年1月1日以後に法定申告期限が到来するもの(平成28年分以後)については、調査の事前通知の後にした場合は、50万円までは10%、50万円を超える部分は15%の割合を乗じた金額となります。)
この期間を過ぎると利用できる確定申告は白色申告のみになり、所得税の控除は一切受けられません。
申請は郵送か税務署に持っていくことで行えますが、初めて行う場合は直接税務署に持っていくことをお勧めします。
書類に不備があった場合に職員に聞きながら対応することができます。
事業用の銀行口座を開設する
事業用の口座はフリーランスを始める上で必要不可欠なものではありません。
しかし確定申告に必要な帳簿をつける作業が楽になるので口座を新設することをお勧めします。
現在フリーランスの多くが帳簿をつけるのに会計ソフト「やよいの青色申告オンライン」などを使っています。
会計ソフトの中には銀行のネットサービスに自動的にログインして振込内容を解析し、帳簿を自動的に付けてくれる機能を持つものがあります。
この機能を使えば帳簿付けがグっと楽になります。
また会計ソフトを利用しない場合でも専用口座があると、入出金の全てが事業に関連したものになるので帳簿付けの効率が良くなります。
確定申告に以外にも事業用口座を開設することにはメリットがあります。
クラウドソーシングサービスを利用して仕事の案件を受注している方は、ネット銀行利用することで手数料を抑えられるケースがあります。
これ以外にもフリーランスが利用するサービスの中にはネット銀行利用することで手数料を抑えられるものがいくつかありますから、事業用口座としてネット銀行の口座をひとつ持つことをオススメします。
フリーランスになる時に困った場合の対処方法
ここではフリーランス1年目の方が見落としがちなポイントを解説します。
仕事以外の部分でもフリーランス特有の事情でトラブルに巻き込まれることがあります。
フリーランスになった後に対処するのが難しいものもあるので、ここで問題点を把握しておきましょう。
フリーランスはローン関係でトラブルになることが多い
フリーランスは収入が安定しない職業であるというのが一般的な認識です。
そのため信販会社の中には、フリーランスで働いている方との契約を謝絶するところが多くあります。
前年度に平均年収以上に稼いでいるフリ―ランサーでもクレジットカードの審査で落とされたという話があるくらいです。
クレジットカードを新規に作成したり、住宅ローンを利用する予定がある方は、フリーランスを始める前に契約を結んでおくのをオススメします。
契約済みであればフリーランスを始めた後に、それを解約されるということはまずありません。
ローン関係以外にも済ませておきたいものは住宅物件の賃貸契約です。
賃貸契約もフリーランスになった後は、なかなか契約を結べません。
これから家族が増える方は少し無理してでも部屋数の多い物件に移り住んでおくべきでしょう。
それが難しい方はUR物件の利用を考えるなどの対策が必要になります。
少ない年金支給額への対処
フリーランスが加入できる公的年金は国民保険のみです。
しかし国民年金は厚生年金に比べて支給額が少なく、これだけでは老後が不安で仕方ありません。
そこで付加年金に加入しましょう。
付加年金は通常の国民保険の保険料に400円を上乗せして払うことで、将来受け取れる年金額が増えるという仕組みです。
付加年金制度とは、毎月の国民年金保険料に400円の付加保険料を上乗せして支払うことで、将来もらえる老齢基礎年金の受給額が増えるという制度です。
将来増加する受給額は、付加年金保険料を納付した月数により変わります。
引用:年金のまなびば
付加年金に加入して30歳から60歳まで保険料を払い続ければ、老後に受け取れる年金が年間で72,000円増加します。
月額6000円とわずかではありますが、給与所得が無くなる可能性のある老後の生活においては少なくない額です。
加入が遅れるほど支給額が減りますから、フリーランス開始と同時に手続きを済ませましょう。
まとめ
フリーランスを始める上で必要になる手続きはそれほど多くありません。
役所に提出するものは社会保障関連の書類と事業開始に関連する書類になりますが、午前中の早い時間から手続きを始めればその日のうちにすべての書類を提出することができるでしょう。
気をつけたいのは手続きよりもフリーランスの社会的信頼が低いために起きるトラブルです。
最も顕著なのはローン関係の対応です。
信販会社の対応が会社勤めの頃とはガラッと変わるので驚きます。
フリーランスを始めた後に賃貸物件に引っ越す場合は、ある程度苦労することを覚悟しておきましょう。
また事業を始めた後で大変になるのが帳簿付けです。
税理士に申告を丸投げした場合は少なくとも10万円ほどかかりますが、自分で帳簿を作成した場合は5万円ほどです。
詳しい記帳方法はネットで検索できますから、資金的に厳しい場合は便利な会計ソフトを購入し自力で帳簿を作成してみてください。