失業保険は、雇用保険の被保険者が失業により再就職先を探している時に支給される「雇用保険の基本手当」です。
この支給にはいくつかの条件があるのですが、今回は専業主婦になる場合に絞って受給可能かどうかについて考えてみましょう。
さらに、扶養に関するよくある疑問も混ぜながら、失業保険と扶養ではどっちがお得かについて紹介します。
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Contents
失業保険は専業主婦になる場合でももらえるの?
結婚などの理由により現在の仕事を退職した後、すぐに再就職することが決まっている場合には失業給付は一切受給できません。
これは、「失業」という状態が一定期間継続することが必要なためです。
一方専業主婦になる場合には、「失業」の状態が発生しているので受給要件を満たすことで受給することが可能になります。
その条件とは、将来的に「再就職を希望している」ことです。
これから専業主婦になるけれど家のことが落ち着いてきたらもう一度働きたいと思っているような場合には、
ハローワークに「雇用保険被保険者証」と「離職票1・2」を提出し求職の申し込みをすることで受給できます。
ただし、失業保険受給中は4週間ごとにハローワークに出向き、失業認定という面接があり、毎月一定数以上(月3社以上)の求職活動の報告提出義務が生じるので、何もせずに受給できるという状況にはならないのが実情です。
失業保険を受給する為の手続きと必要書類については詳しくは下記をご覧下さい。
>>>失業保険がもらえる期間やお金・計算方法やもらう為の手続き方法・必要書類まとめ
専業主婦になる場合でも失業保険を受給する為には、時間がかかります。
ただし、自分の本当にしたい職業を探しながらの就職活動をしているという前提であれば、採用試験を受けた会社から内定をもらっても断ることは可能なので、
失業保険給付期間全ての間に受給し続けることもできます。
失業保険は扶養になるともらえないって本当?
専業主婦が夫の扶養になるための条件は年間の収入が103万円以下であることです。
失業保険を受給していてもこの条件を満たしさえすれば扶養になることも可能ですが、ここには少し注意する点があります。
失業保険を受給した際に、年収として計算されるのは実際に受給した額ではなく、1日あたりの失業保険の額×365日です。
分かりにくいの例を参考にして見ていきましょう。
1日あたりの失業保険の額が5,000円で90日受給した場合なら45万円を受け取ることになりますが、
この45万円が年間の収入となるのではなくて5,000円に365をかけた額である182万5,000円が年間の収入として計算されます。
これは103万円を軽く超える額なので、扶養に入ることはできません。
この計算では、失業保険をもらいながら扶養に入れるのは、「1日あたりの失業保険の金額が3,600円弱」となりますが、
失業保険の日額がこの金額以下になる人はかなり小数になるので、扶養に入りながら失業保険も受給するというケースはかなりのレアケースといえます。
つまり、失業給付を受給する期間は扶養から外れてその後また入りなおすということも検討する必要があります。
専業主婦が失業保険と扶養どちらも受給している場合はバレる?
専業主婦が失業保険と扶養どちらも受給している場合はバレる理由について考えるには、バレた時に起こることについて知るのが最も早いです。
まず、1日あたりの失業保険の額が3,612円以上なのに、扶養から外れず、失業保険の手当をもらっていたことが判明した時に生じるのが、
「国民健康保険料をさかのぼって納付する」義務が生じることです。
失業保険の手当をもらいながら扶養に入っていた期間分の国民保険料を請求されます。
さらに、失業保険の手当を受けながら扶養に入っていた期間分の国民年金もさかのぼって納付するよう求められます。
この際、年金事務所で登録されている年金記録の修正が行われ、本来は扶養に入れない期間ということになるので、第3号被保険者ではなく、第1号被保険者に情報が修正されます。
また、失業保険の手当をもらいながら扶養に入っていた期間中に病院にかかっていた場合は、そのときの費用(保険負担分7割)の返金を求められることになります。
このように、失業保険と扶養どちらも受給している場合には健康保険・年金・医療費といったところからその受給実態を知られやすいためにバレてしまいます。
産後や2人目を出産する場合でも失業保険は受給することが出来ますが、詳しくは下記をご覧下さい。
専業主婦が失業保険と扶養に入る場合はどっちがお得?
結論からいえば、「前の会社でもらっていた収入が多くない限り、扶養を選択するほうがお得」です。
その理由のひとつは、「社会保険料」です。
専業主婦の妻を扶養に入れても夫の社会保険料が上がることはありません。
さらに、妻も自身が社旗保険料を支払う必要がなくなることから、家計への負担を軽減させることができます。
一方で、失業保険を適用し扶養に入らなかった場合には、国民健康保険料と国民年金保険料を自分で支払わなければなりません。
このため、失業保険より保険料が高くなる恐れがあります。
「扶養がお得である」理由のふたつ目は、扶養に入れば、配偶者控除という仕組みで夫の年収が少なく計算されることです。
所得税は年収に応じて計算されるので、支払いを求められる所得税が少なくて済みます。
以上が、「扶養」がお得である理由です。
しかし、実際の所は、前の会社での年収の目安は約160万円以下でなければ「扶養に入ること」を選択できないので、この「扶養」を選べる例はかなり少ないのが現実です。
ですから、専業主婦になる前の会社で約160万円以上の収入がある場合には、失業保険給付の手続きをした方が良いでしょう。
失業保険に入ると扶養から外れるのはいつから?
専業主婦の中にはすでに扶養に入っており、これから失業保険を受給したいと思っている人もいるでしょう。
失業保険に入った場合に扶養から外れるタイミングは、「給付支給対象となった最初の日」となります。
もう少し詳しく見るために、失業給付が受け取れるまでの流れを説明します。
まず結婚のために離職した会社の退職日の翌日に夫の扶養に入ります。
その後、給付制限期間(自己都合退職であれば通常3ヶ月)が満了するまではそのまま被扶養者でいることになります。
この期間が満了した翌日が「給付支給対象となった最初の日」です。
この「給付支給対象となった最初の日」からは、扶養から外さなければなりません。
つまり、扶養を外れるのは失業給付が振り込まれた時ではなく、制度で定められた給付制限期間が満了した時というのがポイントです。
まとめ
制度上の問題から、専業主婦が扶養を選択しながら失業保険給付を受け取れるということは稀です。
しかし、失業保険給付を受給することで、今後の生活において役立つような使い道を選択できることも確かです。
家族と相談した上で、失業給付を受給するかどうかを熟慮することが大切です。