最近問題になっていることとして退職したいのに退職できないというものが挙げられます。
去る者を追わずという言葉とは無縁の現状に対して、退職代行を行う業者すら現れてきました。
そんな退職できないという問題に対して今回、なぜ退職させてもらえないのかその理由と、退職させてもらえない時の対処法、そして退職代行は手段としてどうなのかと言ったことをまとめました。
これを読めばきっと退職したいのに退職できない理由やそれらの対処法、そして退職代行について知ることができるのではないでしょうか。
Contents
退職させてもらえない理由
退職させてもらえない理由は多くあるのですが、主に3つに集約できます。
いずれも、退職させてもらえない理由として多いですから、現在退職させてもらえない人は当てはまるのではないでしょうか。
会社の異常に気付かれる
会社の異常に気付かれる点ですが、例えば、サービス残業が常態化していることや上肢のパワハラが企業内の常識になっていることです。
入社してしまうと、それが当然のこととして洗脳されてしまい、社会的に常識外の環境が当たり前になってしまいます。
その常識外の環境で社員を使うことで、奴隷のように使用することによって会社は利益を上げている場合も少なくありません。
そんな異常に気付いてしまい、退職後そのことを同僚に連絡したらどうなるでしょうか。
確実に会社は信用を落とし、人材が離れて経営が立ち行かなくなります。
そういった常識外の環境であると気づかれるのを恐れるが故に、退職を止めようと必死で圧力を加えるのです(脱落者として笑いものにし見せしめのようにすることもある)。
また、従業員が感情を持ち一斉に反抗したら、経営陣はたまったものではありません。
直属の上司の評価が下がる
直属の上司の評価が下がるという点もあります。
上司は経営陣からの評価を非常に気にしているということがほとんどです。
そのため、自分の部下が辞めたことで評価が下がるという明白な状況を避けようと行動します。
自分の都合で部下の進退を決めるなんておかしな話ですが、実際にこういったことは当たり前のように行われています。
また、この上司自体もパワハラを受けており、部下が辞めることでその苛烈さが増すという恐れもあることから、必死で止めようとすることも少なくありません。
さらに、その上司も再就職が難しい年齢であったり、ローンがあるため辞められないなどの理由で少しでも会社にいやすい環境にいたいということから、しがみついている可能性があります(見方によっては上司も被害者です)。
あるいは出世欲が強く、上に上がりたいがために部下を犠牲にして業績を上げている場合もあり、そんな状況で辞められると自分の実績に傷がつくという非常に利己的な上司もいます。
いずれにしても上司の都合で退職を止められるのです。
人手不足
最後が最も多い理由ですが、人手不足という点です。
ぎりぎりの環境で仕事を強いられており、下手に辞められると職場が維持できないという恐れがあります。
また、一人辞めさせてしまうことで連鎖的にやめていき組織が維持できなくなるということから、一人でも辞めさせたくないという経営側の判断です。
現在は少子化で若者が不足しており、労働者の市場は買い手市場となっています。
そのため、新たに補充しようにもなかなか難しく、ましてや、人が辞めていくような労働環境の悪いところでは人がより集まらないというのは明白です。
そういった意味で貴重な労働力を失うということは大きな痛手であり、必死で引き止めたいと会社は考えています。
この3つの理由がほぼ全ての理由といっても過言ではありませんが、それ以外にもさまざまな理由が存在しているのは確かです。
しかし、それらのいずれも経営側の利己的な理由であり、同情するものではありません。
退職させてもらえない時の対処方法
千十した理由から、退職させてもらえないことも少なくありません。
そういった退職させてもらえない時の対処方法は主に4つあります。
いずれの対処方法も自分自身の為と思って、退職する為に行っていきましょう。
退職を止めることはできないことを知る
まず、退職することは会社側が止めるができない。
ということを知ることから対処方法の手順が始まります。
会社と従業員の労働契約は、そもそも法律上対等の立場で契約していることを知りましょう。
つまり、その時点で退職するのはこちらの勝手と言えるのです。
対等ではないことや今までの恩などさまざまな文句をつけてくるケースもままありますが、何を言われても対等ということに変わりはありません。
そのため就業規則に何と書いてあろうと、法律(民法の627条1項の規定)によって、有期雇用以外の会社員ならいつでも辞める申し入れができ、申し入れから2週間(14日間)で辞めて良いというものです。
第627条
- 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
- 期間によって報酬を定めた場合には、解約の申入れは、次期以後についてすることができる。ただし、その解約の申入れは、当期の前半にしなければならない。
- 六箇月以上の期間によって報酬を定めた場合には、前項の解約の申入れは、三カ月前にしなければならない。
引用:民法第627条
この「申し入れ」が次にお話しする対処法の重要なポイントとなります。
また、この期限である14日ですが、会社の就業規定で数ヶ月前と記載されていても14日の効力の方が強いので、実際はその期間で辞めても問題ありません。
ただし、穏便に退職をしたいのであれば最低でも1ヶ月前に退職の意思を伝えましょう。
よほど理不尽な職場でなければ、引継ぎなどを行うのに十分な期間として、その程度の期間を設けたほうが良いです。
また、このような知識を持っていると相手も警戒するので、強引な手段をとらない場合も少なくないというメリットがあります。
「退職届」を提出する
「退職届」を提出することが次に重要といえます。
退職を告げるとき、「退職願」と書いてしまうのは間違いです。
書面で残して退職したほうが良いと考え、ついこの書類に退職願と書いてしまう人がいますが、これでは退職させてもらえません。
その理由として退職届は「辞める」という宣言(申し入れ)であるのに対し、退職願は辞めるのに会社の同意が必要が必要だからです。
もし退職願を間違って出してしまえば、それこそ相手の思う壺になってしまいます。
同意しないと伝えれば退職させてもらえません。
そのため必ず「退職届」を出しましょう。
ただし、これを出すと撤回できないので、退職をせざるを得ません。
また、出社が嫌で郵送するケースもありますが、受け取り拒否されてしまうことがあります(これは法律違反ですがブラック企業ならやりかねません。)。
そういったケースを回避するため内容証明郵便(日付・差出人・宛先・文書内容を国が証明したもの)で会社に送ることによって強制的に受け取らせることが重要です。
証拠を残す
証拠を残すことも対処法のポイントになります。
退職届のコピーや退職に関わるやり取りのメールを保存したり、妨害などをしてきた場合は音声や画像、動画などに残しておくと良いでしょう。
退職の妨害があまりにひどい場合は、こちらからこの証拠を元に裁判などを強行することも可能です。
何かしら形になると思ったものは何でも保存しておきましょう。
第3者に依頼する
第3者に依頼することも対処法として重要です。
その第3者とは、労働基準監督署あるいは退職代行業者です(基本は前者)。
労働基準監督署は会社とこちらの仲介に入ってくれます。
そのため相手が余りにひどい対応を行ってきた場合(損賠賠償請求などの脅迫)、一人で悩まず相談することがおすすめです。
退職代行業者に関しては後述しますが、賛否が分かれるものの、一人で行うよりは良い方向に行く可能性があります。
ただ、公的機関ではないため、より事態が混乱する恐れもあるため絶対的にお勧めとは言い切れません。
このような手段をとって対処していくことで確実に退職することが可能です。
本当に退職させてもらえない時は退職代行を活用する手もある
前の項目の最後でお話した「退職代行業者」を利用するという手についてですが、結論を言うと全面的なおすすめはできません。
退職を第3者が入って行ってくれるのはいいのですが、問題がある点も少なくないからです。
その理由として、以下の点に気を付けましょう。
- 違法性
- 失敗のリスク
- お金がかかる
違法性
違法性についてですが、退職代行サービスはあまりに過剰に企業と利用者に干渉した場合、非弁行為になります。
つまり、弁護士しか行ってはいけないことを無免許で行うようなもので、無免許医師のような行為になってしまうのです。
退職希望者に代わり、退職通知を会社に行い、雇用契約を終了させるという行為について実は弁護士以外は行ってはいけません。
代行業者はこういったことを堂々と行っている場合があり、この点を会社に突かれたら終わりです。
失敗のリスク
失敗のリスクもあります。
代行業者は必ずしも法律のスペシャリストではありません。
極端な話14日前までに退職を伝えるということや退職願と退職届の違いすら分からないという場合もあるのです。
こういった状況で依頼してしまうと、逆に引継ぎ等をまったく行わず、突然の退職をした結果、納期に間に合わないようなケースとなった場合、損害賠償を求められることすらあります。
このような代行業者を避けて弁護士に依頼することで安全に退職が可能なので、弁護士に依頼することを推奨します。
お金がかかる
退職代行を依頼すると、相場的に5~15万円程度の報酬を支払う必要があるのです。
このように弁護士が行う退職代行はいいのですが、お金がかかるというデメリットがあるというのが結論といえます。